ソニーグループの事業領域
ソニーグループはご存じの通り幅広く事業をしているグローバル企業です。
事業セグメントは以下のようになっています。
- ゲーム&ネットワークサービス(家庭用ゲーム機「PS5」、周辺機器、ゲームソフト、ネットワークサービスなど)
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イメージング&センシングソリューション(CMOSイメージセンサー、各種LSI、レーザー、ディスプレイデバイス、カメラモジュールなど)
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エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(液晶テレビ、オーディオ、デジタルカメラ/動画カメラ、スマートフォン「Xperia」など)
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映画(映画製作/ソニー・ピクチャーズ、テレビ番組制作、
メディアネットワークなど)
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音楽(音楽制作、音楽出版、映像メディア・プラットフォームなど)
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銀行/ソニー銀行など)
21年度の営業利益構成比を見てみるとゲーム、音楽、映画のコンテンツ系のビジネスの営業利益が半分以上を占めており、これらは成長性のあるグロースビジネスといえます。またハイテク系のイメージング&センシング・ソリューションも景気に敏感なグロースの部類に入ると思います。
音楽にはアニメなどの事業も含まれています。音楽と映画のシナジー効果が出た象徴的な事例が鬼滅の刃だと思います。鬼滅の刃の映画が大ヒットとなったのは記憶に新しいですが、実はソニーミュージックエンタテインメントの子会社のアニプレックスが携わっていて業績にも大きく貢献しました。
その鬼滅の刃の映画の主題歌を担当したのがソニーミュージックアーティスツ所属のアーティストでこちらの楽曲も大ヒットとなりました。アニメNARUTOの主題歌もそうですが、アニプレックスが携わる作品の主題歌にはソニーミュージックに関連するアーティストの楽曲が多い印象でシナジー効果が発揮されているのがわかります。
ハイテク系のイメージング&センシングソリューションもスマートフォンカメラの大判化による付加価値向上が期待されています。
23年3月期1Q決算の振り返り
7月29日に発表された1Qの決算は、印象としてはネガティブでした。1Q全体の実績値に関してはサプライズはありませんでしたが、成長期待が大きいゲーム事業が想像以上に苦戦していて通期の営業利益予想を下方修正しました。特にPlayStationのプレイ時間の10%以上の落ち込みはネガティブ視されたように思います。
また、説明会では景気後退に警戒感を持って運営していくといった趣旨の説明がありました。
決算発表後の株価の推移は、初期反応は売りで反応し寄付もギャップダウンでその後も軟調に推移しました。9月以降は米国の金利上昇など急速な投資環境の悪化に伴い、株価も急速に調整しています。
ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)の現状とPS5値上げの影響
G&NSは1Q決算時に通期の見通しを売上を36,200億円、営業利益を2,550億円に下方修正しています。理由として巣ごもり後退による想定以上の下振れや、Bungie Incの買収費用の増加などが挙げられています。
また、PS5本体の通期販売台数は据え置いたものの、物流の混乱や部品不足は改善しつつあるとして販売台数の上方修正への意欲を見せていました。
ソニーインタラクティブエンタテインメントは8月にPS5の値上げを発表しています。発表されたPlayStationBlogでは、値上げの理由として為替の変動や物価上昇をあげています。為替レートについてはドル高に振れている事が原因ですので米国での値上げはされていません。
値上げ後も抽選販売は続いており、今期中に需要サイドに問題が生じるとは考えにくいため、依然として供給のスピードが普及の鍵となると思います。PS5値上げによる今期中の販売台数への影響がないとすると値上げ分業績にはプラスだと考えられます。
G&NSは最近、積極的にゲームスタジオへのM&Aを行っています。Xboxのマイクロソフトもそうですが、プラットフォームとして競争優位を保つにはゲームスタジオに資本を入れないと難しい局面にきているのかなと思います。また、PCやモバイルのゲームの存在感が大きくなっているためプラットフォームとしてだけではなく、IPのPCやモバイルへの展開での収益獲得も重要になっているように思います。
出資・買収した主なゲーム関連の企業
Bilibili(出資)
KADOKAWA(出資)
Epic Games(出資)
Bungie(買収)
FromSoftware(出資)
今後と決算の注目点
11月に23年3月期の中間決算発表が予定されています。当然業績の実績値と予想は大注目ですが、それ以外では以下の点に注目しています。
- PSのプレイ時間,ソフト売上
- イメージセンサーの動向
- 景気見通し
- 生産計画,在庫の動向
- PS5の普及状況,上方修正はあるか など
個人的にはソニーは日本においてGAFAに一番近い日本の企業だと思いますし、これからも時代に合った進化を遂げていける企業だと期待してます。コアの技術を生かしながら多岐に渡る分野で投資をしており、EV車やVRなど長期的なカタリストも多くありウォッチしていて面白い企業ですので是非決算チェックしてみてはいかがでしょうか。
くれぐれも投資は慎重に、自己責任でお願いします。