今回はセブン&アイホールディングスの株価と直近決算、今後の注目点を分析していきます。
セブン&アイホールディングスの事業領域
- 国内コンビニエンスストア
- 海外コンビニエンスストア
- スーパーストア
- 百貨店・専門店
- 金融関連
- その他
その他、消去および全社を含めていません
セブン&アイホールディングスといえば、国内コンビニのセブンイレブンやイトーヨーカ堂やそごう・西武を思い浮かべると思いますが、稼ぎ頭は国内から海外コンビニエンスストアにシフトしつつあります。
22年度2Q時点の営業利益構成比は、海外コンビニエンスストアは43%を占めています。特に21年5月に買収したガソリンスタンド併設がコンビニチェーンのスピードウェイの貢献が大きくなっています。
22年度2Q決算
セブン&アイホールディングスは10月6日に22年度の中間決算を発表しています。
中間決算時に通期の業績予想を上方修正しています。上方修正の理由として挙げられているのが、海外コンビニエンスストアが展開するガソリン小売りの市況影響の営業収益増加と為替レートの修正です。
上方修正後の業績予想は市場予想とほぼ同水準でしたので、そこまでサプライズ感のある修正ではありませんでした。
2Q主なサマリー
- 国内コンビニは営業利益は前年同期比+35億円。水道光熱費が75億円が増加したが、堅調な売上などでカバーし増益。
- 海外コンビニはスピードウェイの統合効果などで、営業利益は前年同期比で+879億円の1661億円。
- スーパーストア事業は水道光熱費などのきついコスト上昇を吸収できず、前年同期比で大幅減益。
株価の推移
セブン&アイホールディングスの株価の推移ですが、年初からは概ね5000円~6,000円の間で推移しています。
決算前後の株価の推移は、決算発表前にメディアの業績観測記事が出て上昇していたこともあり、決算発表後は売りで反応しました。その後は相場全体のリバウンドなどもあり、決算発表前の水準まで戻しています。
今後の株価を左右する注目ポイント
セブン&アイホールディングスの株価を左右する点としては以下のような事に注目しています。
- 国内コンビニは水道光熱費をカバーし続けられるか
- 国内コンビニ インフレで低価格志向広がるか
- 事業ポートフォリオの見直し
- 株主還元の強化
リオープンの影響もあり、コンビニ売り上げは堅調に推移しており、水道光熱費の上昇をカバーすることができています。今後もそのトレンドが続くのかは注目です。
また足元で財の物価上昇が進んでおり、これからも財の価格転嫁は続いていくと考えられます。消費者の低価格志向の強まりなどによって、コンビニが敬遠されるリスクも考える必要があるかと思います。
セブン&アイホールディングスは成長余地と資本効率の両方が劣っている、西武・そごうについて、売却する方向で動いています。売却自体は株価に織り込まれていると考えられますが、想定より高条件で売却できた場合は株価にとってプラスとなるでしょう。
こういった事業ポートフォリオの見直しは、株主であるアクティビストによる圧力によって進んでいると考えられます。アメリカの投資ファンドのバリューアクトキャピタルは22年2月にセブン&アイホールディングスに対し公開質問状を送付しています。
その公開質問状では、主に事業ポートフォリオについての問題点を指摘しており、セブンイレブン事業に集中するための大胆な改革を求めています。そのなかに、そごう・西武の売却が含まれています。
また、イトーヨーカ堂についても売却かスピンオフ、その他の非中核事業からも徹底するよう求めています。バリューアクトキャピタルの公開質問状では、これらの変革を成し遂げた場合2025年のEPSは中期経営計画比で1.4倍にになると推定しています。
決算書を見る限りセブンイレブン以外の非コア事業は、バリューアクトが指摘しているように資本効率が悪くなっていて、株価がディスカウントされる要因になっているのは明らかだと思います。
ですから仮にそごう・西武だけでなくイトーヨーカ堂などの非コア事業についても、売却などが実現すれば株価へポジティブインパクトは大きいと考えられます。
しかし会社側はイトーヨーカ堂に事業戦略上の意義があるとして手放さない方針ですし、創業家の影響力が大きい内は難しいのではないかといった内容の報道もされています。
イトーヨーカ堂などの扱いをどうするかによって今後のセブン&アイホールディングスの株価も大きく変わってくると思いますので、今後も圧力をかけるファンド側と会社側とのやり取りは要注目だと思います。
この記事は2022年11月5日時点の情報を基に執筆しています。
くれぐれも投資は慎重に、自己責任でお願いします。