今回はサッカーワールドカップの関連銘柄の業績・株価、日本代表の活躍による影響について分析します。
美津濃(ミズノ)
美津濃(8022)はどんな企業?
スポーツ用品のメーカーとしてグローバルに展開をしているミズノです。ミズノはサッカーだけでなく野球、ゴルフ、陸上競技、卓球などあらゆるスポーツの製品を取り扱っています。
開示資料ではサッカー製品の売上高比率等は見当たりませんでしたが、スパイク等の評価は一定程度高いため、売上高比率はそれなりに高いと推察されます。
日本の売上高比率は22年3月期で65.2%で米州、欧州、アジア/オセアニアがそれぞれ10%程度となっています。
開示資料を基に作成
業績は自粛などの影響が大きかった21年3月期に減益となりましたが、22年3月期は急反発しています。これは前年の反動や経営効率化の影響が大きかったようです。
23年3月期の業績は11月9日に販売好調などを理由に上方修正しています。
上方修正しても2Qまでの経常利益の進捗率で既に70%を超えており、市場には更なる上方修正期待もあると思います。
株価推移とバリエーション
- 株価 3045
- 配当 60円
- 予PER 8.7倍
- PBR 0.6倍
- 時価総額 809億円 (11月24日終値時点)
美津濃(8022)は低PERのバリュー株です。
保有資産に対しての利益率が低く市場の評価が低いためPBRが1倍を切っての株価の推移が続いていると考えます。
この収益性の低さの問題は会社も意識しており、中期計画でROA・ROEを向上させていくとしています。
日本代表のドイツ戦勝利の翌営業日の株価は急騰し、5.77%高の3,045円で引けました。チャート的にはここ3年のレンジを上抜けた形となっています。
サッカーワールドカップの株価・業績影響
アディダスやナイキと比べるとサッカー界でのプレゼンスは低いですが、ミズノの事業規模を考えるとサッカーの盛り上がりによる業績へのインパクトは一定程度あると考えられます。
日本代表にはミズノと契約してブランドアンバサダーを務めている選手が複数選出されています。
そのため、その契約選手が活躍すれば、ミズノにも注目が集まる可能性があります。
日本代表選出のミズノ契約選手
- 吉田 麻也
- 権田 修一
- 田中 碧
今回ABEMAで解説をしている本田圭祐もミズノの契約選手です。
来年には野球のWBCも控えており、美津濃に支援材料になるイベントが続きますの要注目です。
アシックス
サッカーワールドカップの株価・業績影響
アシックスの株価は日本代表のドイツ戦勝利の翌営業日は2%高程度で始まったものの、結局0.8%の下げで引けました。
ロイターや株式新聞などではワールドカップ関連のホットストックとして紹介されていましたが、日本代表勝利によるアシックスの業績への影響は軽微かほとんどないと考えます。
アシックスは21年度売上の約7割は海外で、しかも業績に貢献しているのは、ほとんどがランニング関連の製品です。
また、会社が開示している説明資料にもサッカーの事はほとんど記載がありません。
アシックスは美津濃に比べて時価総額も大きいですので、同じようにサッカー製品を扱っているからという理由での物色は、持続性に欠けると思います。
株価推移とバリエーション
- 株価 3045円
- 配当 32円
- PER 26.57倍
- PBR 3倍
- 時価総額 5,781億円 (11月24日終値時点)
アシックスの株は美津濃とは対照的な高PERのグロース株で、市場の期待も非常に高い株です。
ランニングシューズはグローバルでプレゼンスが高く、アスリートからも評価は高いようです。また、最近はデジタル戦略を推進しており、関連企業のM&Aも積極的です。
サイバーエージェント
サッカーワールドカップの株価・業績影響
ワールドカップ日本代表のドイツ戦勝利後の株価は買い気配で始まり、その後買いが続き84円高(+6.94%)の1294円で引けました。
ABEMAのワールドカップの放映権取得は社運を賭けた投資といえます。ですから盛り上がりの度合いや視聴者数の動向によって株価が左右されるというのは当然です。
サイバーエージェントによると、日本代表が勝利した11月23日のABEMAの視聴者数は1,000万を突破し、開局史上最高を記録したそうです。
今回のワールドカップはスポーツ中継でのABEMAの優位性を再認識する機会になっていると思います。
視聴画面の切り替えなどで地上波の中継と差別化に成功しており、ワールドカップ後もABEMAでのスポーツ中継の拡大が期待できそうです。
サイバーエージェントの業績等はこちらの記事で分析しています。
この記事は11月24日時点で公開されている情報を基に作成しています。
投資は慎重に自己責任でお願いします。