日本でも継続的にインフレが続く可能性があり、インフレ率に勝る高配当の銘柄が優位の時代が到来している可能性もあります。
今回は高配当株を組み入れている投資信託を分析、紹介します。配当に着目して組成されている投資信託はインデックス型とアクティブ型の両方があります。
インデックス型とアクティブ型の違いや特徴はこちらの記事が参考になります。
紹介するアクティブファンドは比較的に信託報酬の低い投資信託を選びました。
インデックス型
SMT日本株配当貴族インデックス・オープン
三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用する投資信託で、S&P/JPX配当貴族指数(配当込み)に連動するように、組成されている投資信託です。
S&P/JPX配当貴族指数は安定配当か毎年の増配など、配当利回りが高い銘柄で構成されている指数です。
組入銘柄
組み入れ上位10位* 業種 構成比率 配当利回り
1 東洋製罐グループホールディングス 金属製品 3.51% 5.52%
2 住友林業 建設業 2.69% 3.37%
3 稲畑産業 卸売業 2.63% 4.64%
4 安藤・間 建設業 2.55% 4.58%
5 ダイセル 化学 2.52% 3.41%
6 UBE 化学 2.40% 4.75%
7 インフロニア・ホールディングス 建設業 2.33% 3.88%
8 オートバックスセブン 卸売業 2.32% 4.12%
9 エクシオグループ 建設業 2.32% 4.51%
10 東ソー 化学 2.30% 4.93%
組入上位10業種* 比率
1 建設業 19.04%
2 銀行業 18.44%
3 化学 15.20%
4 卸売業 7.04%
5 その他金融業 6.01%
6 保険業 4.14%
7 ガラス・土石製品 3.82%
8 金属製品 3.51%
9 陸運業 2.28%
10 非鉄金属 2.23%
*2022年11月30日時点
*月次レポートを基に作成
運用のポイント
組入上位業種の特徴は配当がテーマの指数をベンチマークにしているため、高配当業種の中で上手く分散されています。
組み入れ銘柄はインデックスとしては珍しく、比較的時価総額が大きくない銘柄が比率の上位に入っているが特徴的です。
その他の概要
信託報酬:年率0.462
純資産総額:5.38億円**
信託報酬はインデックス型のため比較的低く設定されています。
純資産総額は5億程度で資金の集まりは悪いのは、少し気がかりです。
**12月23日時点
アクティブ型
日経平均高配当利回りファンド
三菱UFJ国際投信が運用するファンドで日経平均の構成銘柄の中から、予想配当利回りの上位30銘柄でポートフォリオを構築するファンドです。
組入銘柄
組入上位10位* 業種 構成比率 予想配当利回り*
1 日本たばこ産業 食料品 6.3% 6.7%
2 三井住友フィナンシャルグループ 銀行業 6.1% 4.9%
3 武田薬品工業 医薬品 6.0% 4.4%
4 みずほフィナンシャルグループ 銀行業 6.0% 5.0%
5 日本郵政 サービス業 6.0% 4.6%
6 日本製鉄 鉄鋼 5.7% 8.2%
7 商船三井 海運業 5.7% 16.3%
8 ソフトバンク 情報・通信業 5.4% 5.7%
9 JFEホールディングス 鉄鋼 5.3% 5.9%
10 丸紅 卸売業 5.1% 4.8%
*2022年11月30日時点
*月次レポートを基に作成
運用のポイント
高配当の中でも投資対象は日経平均採用銘柄のため、基本的に時価総額が大きい銘柄が投資対象となっています。
一銘柄あたりの構成比率が大きくなっており、投資信託にしては集中投資の度合いが高めです。信用リスクや無配懸念があると判断した場合は投資対象から外す場合があるとしています。
しかし基本的には予想配当利回り上位30銘柄に投資するとしており、銘柄選定は機械的に行われているため、インデックス型に近いアクティブ型の投資信託です。年2回の分配があり分配金は、経費控除後の配当収入の水準を勘案するとしています。
その他の概要
信託報酬:年率0.693
純資産総額:33.19億円**
信託報酬は分配金のあるアクティブ型の投資信託としてはかなり低く設定されています。純資産総額は多くはありませんが、運用に影響が出る懸念がある水準ではないでしょう。
**12月23日時点
三井住友・配当フォーカスオープン
三井住友DSアセットマネジメントが運用する投資信託です。
組入れ上位10* 業種 ⽐率 配当利回り
1 ⽇本電信電話 情報・通信業 1.8 3.1
2 伊藤忠商事 卸売業 1.8 3.3
3 三井住友フィナンシャルグループ 銀⾏業 1.7 4.9
4 KDDI 情報・通信業 1.7 3.3
5 みずほフィナンシャルグループ 銀⾏業 1.7 5.0
6 ⽇特建設 建設業 1.6 4.9
7 スター精密 機械 1.5 3.5
8 メイテック サービス業 1.5 3.3
9 兼松 卸売業 1.5 4.9
10 センコーグループホールディングス 陸運業 1.5 3.5
*2022年11月30日時点
*月次レポートを基に作成
運用のポイント
銘柄選定は配当に着目して行われています。ポートフォリオの約70%は予想配当利回りと配当政策の総合評価が相対的に高い銘柄を組入、約30%は運用会社が投資魅力度が高いと判断した銘柄が組入れられます。
2022年11月30日時点の組入れ銘柄数は88銘柄と多く、組入れ上位10位の銘柄の構成比率もそれぞれ1%台で、銘柄分散もしっかりと行われています。分配実績もある投資信託です。
その他の概要
信託報酬:年率0.924%
純資産総額:49.37億円**
信託報酬はアクティブ型ファンドとしては低めに設定されています。純資産総額も40億円程度の水準で安定的に推移しています。
**2022年12月26日時点
フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)
フィデリティ投信が運用する投資信託です。
組入銘柄
組入れ上位10* 業種 ⽐率 予想配当利回り
1 SOMPOホールディングス 保険業 4.0% 4.2%
2 ブリヂストン ゴム製品 4.0% 3.2%
3 伊藤忠商事 卸売業 3.9% 3.6%
4 三井住友フィナンシャルグループ 銀行業 3.6% 5.3%
5 KDDI 情報・通信業 3.5% 3.1%
6 アステラス製薬 医薬品 3.4% 2.9%
7 三菱商事 卸売業 3.1% 3.8%
8 ソフトバンク 情報・通信業 2.7% 5.9%
9 セコム サービス業 2.7% 2.2%
10 上組 倉庫・運輸関連業 2.4% 2.8%
*2022年11月30日時点
*月次レポートを基に作成
運用のポイント
配当の水準だけでなく配当成長(増配)に着目しているファンドです。比較的純資産総額の大きいファンドのため、組入の上位銘柄は時価総額が大きい銘柄で構成されています。
組み入れ銘柄数は63銘柄*で、上位10銘柄で33.2%の組入比率を占めています。三井住友・配当フォーカスオープンに比べると集中投資に近い投資信託です。年4回の分配も実施しています。
その他の概要
信託報酬:年率1.188%
純資産総額:283.5億円**
信託財産留保額:0.3%
**2022年12月26日時点
日本好配当リバランスオープン
岡三アセットマネジメントが運用する投資信託です。
運用のポイント
投資対象は日経500種平均株価の採用銘柄を予想配当利回りの上位70銘柄程度とするとしています。予想配当利回りだけでなく、財務状況や流動性も勘案しているようです。
日経平均高配当利回りファンドと同じような銘柄選定の基準ですが、日本好配当リバランスオープンの方が、銘柄数と投資対象が広くなっています。
2022年12月7日時点の組入銘柄は70銘柄で組入比率は、全銘柄1.3%か1.4%で均等に組み入れられています。機械的な銘柄選定の要素があり、インデックス型に近いアクティブ型投資信託です。
その他の概要*
信託報酬:年率0.913%
純資産総額:104.44億円
*2022年12月27日時点
投資をされる際は目論見書等の運用会社,販売会社から発行される書類を読んで、理解した上で投資しましょう。くれぐれも投資は慎重に、自己責任でお願いします。
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