今回は銀行業の収益環境と銀行株に投資する際のETF活用法を紹介します。
銀行業の収益環境
12月20日に日本銀行は金融政策を修正し、10年金利の許容変動幅を上下0,25%程度から上下0.5%に程度に拡大することを決めました。この修正を受け日本の銀行株は上昇しています。
許容変動幅拡大による業績への影響
主に予想できる業績に貢献する経路としては、固定金利貸出の新規貸出利回りの上昇、利回り上昇後の10年国債の買いによる利息収入の増加が挙げられます。
全体としては上記のプラスの影響が強く出ると考えられますが、利回り上昇によって既に保有している債権は含み損が拡大すると考えられます。
そのため利上げ時のポジションによって、業績影響は変わってきます。
23年には更なる金融政策の変更の可能性も
2023年に金融緩和の更なる縮小があるかは、物価上昇率がどうなるかによって変わってきます。
日本銀行の現時点での23年の物価見通しは、22年のエネルギー価格による物価上昇の寄与が、剥落するため1%台半ばの上昇率に落ち着くと予想しています。
ただ仮に23年1月に出る物価見通しを示す展望リポートで、物価見通しを上方修正した場合、金融緩和を持続する根拠がなくなってしましまい、23年の緩和縮小の確率は高まります。
そのため物価上昇率によっては、銀行業の収益環境が更に好転する可能性があります。
ETF活用で銘柄分散
利上げは株式市場全体にとってはネガティブとなりますが、銀行業を組み入れておくことで一定のヘッジにはなります。
ただ銀行業の中でも利上げの業績感応度は銘柄によって違います。メガバンクから地銀までたくさん銘柄がある中で、どの銘柄に優位性があるか判断するのは非常に難しいです。
そこで銀行業のみを組み入れたETFに投資することで、銘柄固有のリスクを低減することが出来ます。
NEXT FUNDS東証銀行業株価指数連動型上場投信(1615)
運用会社は野村アセットマネジメントの東証銀行業指数に連動する、投資成果を目指すインデックスのETFです。
ほとんど組入銘柄が同じETFで、NEXT FUNDS銀行(TOPIX-17)上場投信(1631)というのもありますが、純資産総額と流動性の観点から、銘柄コード1615の方が無難だと思います。
分配金利回り(実)3.05%
信託報酬率0.209%
最低取引金額 20270円*
純資産総額 804.9億円*
組入上位**
No. 銘柄コード 銘柄 純資産比率
1 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 29.94%
2 8316 三井住友フィナンシャルグループ 20.65%
3 8411 みずほフィナンシャルグループ 15.02%
4 8308 りそなホールディングス 5.10%
5 8309 三井住友トラスト・ホールディングス 4.94%
6 7182 ゆうちょ銀行 1.81%
7 7186 コンコルディア・フィナンシャルグループ 1.59%
8 8331 千葉銀行 1.41%
9 5831 しずおかフィナンシャルグループ 1.37%
10 8354 ふくおかフィナンシャルグループ 1.30%
全79銘柄
*2022年12月30日時点
**2022年11月30日時点
金融政策の修正後に急騰し、出来高も急増しています。
組み入れ銘柄比率はメガバンクだけで50%を超えています。
注意点
銀行業にとって追い風であることは間違いないことですが、株価の水準については考える必要があります。
既に銀行業の株価は上がっており、更なる金融政策の変更もある程度織り込んでいる可能性もあることは注意が必要です。
投資は慎重に、自己責任でお願いします。