今回は気象関連銘柄のグロース株、ウェザーニューズの株価と業績を分析します。
ウェザーニューズ
事業概要
ウェザーニューズは気象会社の世界最大手です。
気象庁との違いについて、気象庁は「天気予報=注意報・警報」であるのに対して、ウェザーニューズは「対応策情報=費用対効果」だと説明しています。
法人向けに気象情報などを提供するBtoBと、個人にアプリなどを通じて気象情報を提供するBtoCに大別されます。
BtoBの主力である航海気象では、航海のスケジュール・安全管理や燃料節減など、単なる気象予報ではなく、付加価値の高いサービスを提供しています。
個人向けのモバイル・インターネット気象は近年成長を続けており、ウェザーニューズの成長ドライバーとなっています。
ウェザーニューズの天気アプリは、基本の利用は無料ですが、30時間先までのレーダー予測などの、一部のサービスは有料会員限定となっています。
個人向けサービスの競合は「Yahoo!天気」や「tenki.jp」がありますが、ウェザーニューズのアプリは予報精度ナンバーワンを謳っており、近年ユーザー数が増加しています。
ファンダメンタルズ
業績
ウェザーニューズの業績は航海気象とモバイル・インターネット気象が牽引し、増収を継続しています。
23年5月期は、広告投資やエンジニア強化による人件費増加がありながらも、最高益更新の業績予想となっています。
23年5月期の2Qまでは、為替の円安も業績にプラスに働いています。
3Q以降は為替が円高に振れているため、その分のサポートは剥落しますが、業績予想の前提為替レートはドル円120円のため、上振れ余地はまだあると考えられます。
またリオープニングによる航空気象の回復も支えとなっています。
バランスシート
23年5月期2Q時点 | |||
流動資産 | 15,878 | 流動負債 | 1,846 |
固定資産 | 3,604 | 固定負債 | 108 |
(単位:百万) | 純資産 | 17,527 |
23年5月期2Q時点の自己資本比率は89.5%となっており、ウェザーニューズの財務は非常に健全です。
保有資産も現金及び預金の比率が高く、投資余力や株主還元強化の余力がある状態です。
株価分析
ウェザーニューズの株価は2020年の夏ごろから動意づき、2年かけて水準を切り上げてきました。
業績が堅調なこともありますが、PERが切り上がっている事を考えると、事業のポテンシャルが評価され始めた事や、ESG関連としての投資資金が集まった事が要因だと考えられます。
株価 | 7,090 |
時価総額 | 840億 |
PER(予) | 32.5倍 |
PBR | 4.48倍 |
配当利回り(予) | 1.41% |
23年1月25日終値時点 |
上場している類似企業がなく、PERを比較することが出来ないため、評価が難しいですが、気象会社は参入障壁も高く、経営も優良なため、高PERが許容されているのではないでしょうか。
株主還元
ウェザーニューズは「高貢献、高収益、高分配」を掲げており、配当性向は50%を目安に設定されています。
ただ株価のPERが高くなっているため、配当利回りは1.4%となっています。
利益水準や内部留保を考えると、増配などの株主還元強化の可能性は高いと考えられます。
株主優待も設定されており、5月末と11月末の株主にウェザーニューズアプリの有料サービス無料利用権を提供しています。
主なアップサイドとリスク
アップサイド
- 為替の円安進行
- 株主還元強化
- 株式分割
- 新規事業の気候テック事業の利益貢献顕在化
- 既存事業の成長
ウェザーニューズの新規事業の気候テック事業は、気候変動リスク分析など、市場のテーマに沿っており注目されています。
ただ、どこまで業績に貢献できるか未知数のため、業績貢献が顕在化した場合、株価にプラスに働くと考えられます。
リスク
- 為替の円高進行
- 成長鈍化
- 景気後退
この記事は2023年1月25日時点で公開されている情報を基に作成しています。
投資は慎重に、自己責任でお願いします。