今回は楽天証券などで1月30日から販売される、楽天グループ株式会社第22回無担保社債を解説します。
楽天グループ第22回無担保社債概要
楽天モバイル債(愛称)
利率 年3.30% (税引後 年2.629%)
期間 2年
申込単位 額面50万円単位
利払日 年2回(2月10日と8月10日 初回は23年8月10日)
債権格付 A (JCR)
社債の引受け
大和証券 1,000億円
SMBC日興証券 600億円
楽天証券 400億円
野村証券 400億円
三菱UFJモルガンスタンレー証券 100億円
この社債は愛称として【楽天モバイル債】と名付けられていますが、あくまで発行主体は楽天グループです。
期間が2年で年利3.30%の社債はかなり高利回りで一般論としては、それだけ信用リスクも高いと言えるでしょう。
格付を解説
この債券は日本格付研究所(JCR)によって、債券格付としてAを取得しています。
債券格付Aは、上から三番目で【債務履行の確実性は高い】という評価になっています。
楽天グループは発行体として格付も受けています。
楽天グループ発行体格付
格付投資情報センター(R&I) A- 最上位から3番目
A の定義 【信用力は高く、部分的に優れた要素がある。】
マイナス符号は、下位の格に近い事を表しています。
S&Pグローバル・レーティング(S&P) BB 最上位から5番目
BBの定義 【債務者は短期的にはより低い格付けの債務者ほど脆弱ではないが、高い不確実性や、事業環境、金融情勢、または経済状況の悪化に対する脆弱性を有しており、状況によってはその金融債務を期日通りに履行する能力が不十分となる可能性がある。】
日本格付研究所(JCR) A 最上位から3番目
出所:日本格付研究所「信用格付の種類と記号の定義」,格付投資情報センターHP, S&Pグローバル・レーティング「S&Pの格付け定義等」
格付会社各社によって楽天グループの信用リスクの見解は大きく異なり、S&Pが比較的ネガティブに評価しています。
買って大丈夫?
債権投資の基本をチェック
社債投資の一番のリスクは発行体が、債務不履行に陥る事です。
株式投資の場合は業績などの収益性を評価して投資判断をしますが、社債の場合は支払い能力を評価する必要があります。
つまり社債の場合は業績改善がされなくても、デフォルト等をしなければ大丈夫という事です。
中途売却も視野に投資するのであれば、市場金利の動向なども予想する必要がありますが、基本は満期まで保有することを前提に投資します。(償還までに本当に発行体がヤバいと思ったら損切として売却もアリ)
株式より安全性が高いのは確実な上、マクロの経済環境が不安定であることを考えると、株式だけではなく債権をポートフォリオに組み入れるのは、有効な分散投資です。
楽天グループの社債は買い?
結論は私は買います。
発行体が楽天モバイルであれば難しいですが、楽天グループの社債としては魅力的な利回りだと考えています。
楽天グループの業績については、ネガティブに見ていますが、資金が枯渇して、資金調達も出来ないような状態には陥らないと考えています。
仮に資金が枯渇するような状態になった場合は、子会社の売却などが想定されます。
最近では楽天証券の株式19.99%をみずほ証券に800億円で売却しました。
約2割で800億円ですから、残りの全部を売却した場合、単純計算で3,200億円を調達できます。他にも銀行やカードなど魅力的な子会社が多いため、収益性を捨てれば資金調達は比較的簡単でしょう。
このように、いざとなれば事業を縮小する形で、現金を捻出することも考えられますので、債務不履行に陥るリスクは利回りの割には小さく、今回の社債に投資妙味は十分あると考えられます。
申し込む際は目論見書等を熟読の上、購入を検討されることをお勧めします。
投資は慎重に、自己責任でお願いします。
この記事は2023年1月27日時点で公開されている情報を基に作成しています。